• 公開:2022/03/07
  • 更新:2023/11/27

日本人のDNAに刻まれている
「空気を読む」本当の理由

そもそもなぜ日本人は空気を読んだり、他人の顔色を窺ったりするのだろうか?ひとつには同調圧力といったものもあるが、そういったものとはおよそ無縁な、奔放に振舞っているように見えるのに、なぜか愛される人もいる。

英語には「空気を読む」にぴったりと該当する言葉は存在しない。似たような言葉では”read between the lines”(行間を読み取る)といったような言葉はあるが、人目を気にするという意味合いは含まれていない。

どうしてそこまで日本人は人目を気にするのか、そこには江戸時代の年貢制度に由来している。

年貢から上手く逃れるための処世術

江戸時代、国民の8割を占めていた百姓たちは、年貢の厳しい取り立てに対し、時に「今回も不作でして…」というスタンスを貫くことで免れていた。 しかし、 裏ではしっかりと貯め込んでいたので、 見た目にはボロボロの衣服を纏っていたが、裏地を豪華にしたり、上質な生地であつらえたりしてひそかに愉しんでいた。

顔色を窺うという行為は、ひっそりと息を潜めていなければ、生きていけなかった時代の名残である。莫大に儲けているのがばれたら、年貢や上納金は増え、豪遊した者は打ち首にされてしまったという。空気を読まないことは、イコール死を意味していた。このような時代背景から、特に日本人は空気を読むことで「身を護っていた」のである。

日本人と欧米人の”空気を読む感覚”の違い

しかし現代では、言いたいことが言えず他人の都合を優先させるあまり、ストレスや疲労を感じている人も多いのではないかと思う。

本来、空気を読むとは安全で円滑な人間関係をつくるためのもの。日本文化の「忖度」とは相手を思いやる美しい心遣いから生まれた。言葉の裏に隠された繊細な感覚、機微を掬いとることのできる能力。

一方、欧米人は、人は違うのだから言わなければわからない、という自分軸で生きている。彼らは愚直に言葉の力を信じている。

どちらが良いということはない。そこには国民性の違いがあるだけ。場所が変われば常識も変わる。日本人が相手を尊重することで信頼を築くのに対し、欧米人は相手との違いを理解することで信頼を築いている。

先祖を通してみえてくる、自分の強み

他国と比較してみても、日本人はコミュニケーションが得意ではない。

このことは、日本人に職人が多かったことにある。職人はコツコツと無言で作業を行うため、DNAには「コミュニケーションしなくて良い」ということが刻まれている。祖先の職業に関心を持つことで、可能性が見えてくる。バケツリレーションシップのように特技は継承されている。

ちなみに、先祖の戒名から自分の得意分野を割り出すことが可能だ。自分の強みを無視して自己実現を果たすのは無理ではないが、なかなか困難だ。また、家庭で扱われている言語から先祖の強み弱みがわかるという。

相手のためにどうするのが良いのか?「暗黙の了解」という名の“ドレスコード”とは、相手を不快にさせないためにある。それさえ心得ていれば、自分を犠牲にすることなく、風通しのよい関係が築けるはずだ。

この記事を書いた人

オキタ・リュウイチ

DEEP Branding japan 編集長

オキタ・リュウイチ

DEEP Branding japan 編集長

オキタ・リュウイチ

早稲田大学人間科学科中退。行動経済学に類した独自の経済心理学を研究し、日本で初めてマーケティングに応用。過 去 にプロデュースしたプロ ジェクトの 数 々は、大 前 研 一氏の「ビジネスブレイクスルー」、「ワールドビジネスサテライト」はじめ、「めざまし T V」「金スマ」など、各種メディアで特集されている。主著『5 秒で語ると夢は叶う』サンマーク出版、『生きテク』PHP 研究所 など。