• 公開:2022/03/07
  • 更新:2023/11/27

活躍するのに、
優秀さは必要なのであろうか

“マーケティング”という言葉がある。企業が、はたまた個人にとっても無視できない重要な時代になってきた。しかし、西洋的なマーケッターは、どこか案件が始まってしまうとイジワルになってしまう印象がある。それは何故だろうか?西洋型マーケティングはそもそも、”狩猟”のコンセプトを採用しており、それが”軍事用語”となっていく。

狐を囲い込んで一網打尽にする、いわゆる顧客を囲い込む西洋マーケティングに違和感があるのは、東洋のそれとの違いを、我々が本質的に直感しているからではないだろうか。元来、人々の思考の源泉は、神話である。西洋の神は怒りっぽい。島ごと沈めたり、全滅させたりするのが鉄則だった。

では、東洋のマーケティングはどうだろう。古来ではどのように考えられていたのか、古事記にその謎が描かれていた。

イザナギ・イザナミは最初の離婚経験者だった

古事記には3000人ほどの神が登場する。しかし、ほとんどの神は、名前のみ登場するだけだ。そしておもしろいことに、問題を起こした神が古事記では取り上げられているのだ。かの有名なイザナギ、イザナミは七代目の夫婦だが、同時に一番最初の離婚経験者でもある。

この泥沼離婚劇は、数千年経った今もまだ、決着がついていない。

アマテラスは日本最古のひきこもり

最高神であるアマテラスは弟と揉めて天岩戸に隠れてしまった。世界は暗闇に包まれ波乱の世となった。そこで八百万の神々は会議を開き戦略を練った。

知恵の神による「外が賑やかで愉しそうだったら出てくるんじゃね?(しかもアイデアを出すだけ)」という提案により、神々は祭りを催すことになる。アメノウズメが「私おどるわ!」と言い、神々は口々に「おれはたいこたたくよ!」「おれは飲んで盛り上げる(笑)」という風に、真っ暗闇の中、盛り上がっていた。この作戦が功をなし、アマテラスがちょっと覗いた隙に、手の力の神「手力男神」が引っ張りだす連携プレイにより岩戸から出すことに成功する。

ふたたび世界に、光がふり注いだのである。

岩戸から出たアマテラスは強くなっていた。弟スサノオに鉄拳を食らわせ、髭や爪をひきちぎり追放した。

ここでの最大のポイントは、誰ひとり優秀ではないこと、それゆえに協力体制をとり、問題を解決したことにある。

ひとと同じであろうとしない、その個性が魅力的

大切なのは、決して優秀でなくとも、自分ができることを自分以外の全員に施すことで、必要な人材になれる、という事実である。

アイデアだけ、手の力だけ、そうやって”コラボレーション”という形でひとつのプロジェクトを推進していく。自分の持っているリソースを引き出すことによって、何かを与える側になる。

世の中を耀かせるために力を発揮することで、苦しんでいたマーケティングの世界からすこしは解放されるのではないだろうか。ひとりの力だけではなくサポートしあうことで、問題解決の糸口は必ず見つかるのである。

この記事を書いた人

オキタ・リュウイチ

DEEP Branding japan 編集長

オキタ・リュウイチ

DEEP Branding japan 編集長

オキタ・リュウイチ

早稲田大学人間科学科中退。行動経済学に類した独自の経済心理学を研究し、日本で初めてマーケティングに応用。過 去 にプロデュースしたプロ ジェクトの 数 々は、大 前 研 一氏の「ビジネスブレイクスルー」、「ワールドビジネスサテライト」はじめ、「めざまし T V」「金スマ」など、各種メディアで特集されている。主著『5 秒で語ると夢は叶う』サンマーク出版、『生きテク』PHP 研究所 など。